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カノンと一緒になって馬鹿みたいに泣くだけ泣いたあと。
やっとすこし落ち着いて顔をあげお互いを見る。
「みっともないところを見せたな。」
「俺もです。」
「お前はガキだからいいんだ。」
自分が酷い顔をして半べそをかいている事ぐらい解る。
「...ガキ扱いしないでくださいよ。」
カノンがいつもの偉そうな顔に戻っているのが悔しくて、むきになって整った唇にキスをした。
その口づけに意味なんてなかった、ただちょっと背伸びをしてみたかっただけかもしれないし、大切な人を失って人肌が恋しくなっただけかもしれない。だいたい、こんなときに平静でいられる人間なんているのだろうか。
俺は汗と涙で湿った長いカノンの髪をかきあげ、ゆっくりと手を廻しながら言ってみる。
「前に言っていた。大人のワルいことってやつ。教えて下さいよ。」
「...今日の俺は何をするか解らないぞ。」
「別に?俺も今日は何をするか解らないし。」
「生意気言いやがって。」
「あなたが育てたんですよ。こっちに来てから。...おかげで不良になっちゃいました。」
「はは、確かにな。まっとうな聖闘士様からはずいぶん離れてしまったな。」
そういってカノンは、神をも騙す様な笑顔をして俺に唇を返した。