その情事には甘さも何もあったもんじゃなかった。むしろ乱暴と言っても良かった。
奴は重い躯でのしかかってくるし。俺の頭を抑え込み無理矢理口淫させたり、そのまま髪に指を通して俺を引き上げ、横たわっている自身の上に脚を開いてゆっくりと座らせて強く突き上げたりした。屹立を同時に抉られ辛くて気持ちよくてどうしたらいいのか解らなくて、思わず頬を涙がつたう。
でもどうせ俺たちの関係なんて少しぐらい雑なぐらいが丁度いいから、これでいいんだ。きっと。
「...う...く...ああっ。」
「どうした...。もう降参か?」
「う...るせえ。中年が無理して中折れすんなよ。」
「偉そうなことを言ってあとで泣くなよ。クソガキ。」
俺の躯を酷く扱っているのはカノンだったが、泣きそうな辛い表情をしているのはむしろ奴だった。
そんな悪態をつきながらするセックスは妙に心地よかった。
汗だくの躯がようやく離れた後もお互いべたべたしたりせず。
さっさとタオルで事後処理をしながらベッドに転がって埒もない事を話した。
カノンは言う。
「俺はもしかしたら世界の征服なんてどうでもいいのかもしれない。」
そして自嘲の様にこう呟く。
「...だからこれから起こることは。本当は俺だけが背負わなくてはいけないことなのかもしれない。すまん、アイザック。お前まで巻き込むことになりそうだ。」
そう言った笑顔があまりにも純粋な子供のようだから。俺はだまって微笑み返す。
いいですよ、だって俺は一度死んだ身なんです。
聖域からも師からも忘れられた存在。それが俺。
だから、拾ってくれた貴方について行きます。
なんだか放っておけない年上のあなたにね。
でも、俺が無くした左目の痛みと、貴方が半身を失った痛みだけは。
甘い思い出とともに決して消えることはないのだろう。
FIN
2011/1/27