ある夜、宝瓶宮の扉をコンコンと叩く重いノックの音がした。
その中からぱたぱたと軽い足音をたてて、待っていたとばかりに顔をだす人影は細身のエプロン姿、しかしエプロンの下にはなぜかぶかぶかのシャツを来ている。
届いたのはクロネコヤマトの夜間配達便。
受け取った宮の主、カミュはすこし驚く。
一つは自分で頼んだもの、そう、これを待っていたのだ。
そしてもう一つは覚えのない荷物、贈り物のようだ。これは、なんだ?
大きな包み紙にはデフォルメされた猫が沢山描かれており、氷河からの宛名が記載してあった。
-----Like a Virgin?----
…少々話はさかのぼる。
女神の御加護によって聖戦後の命を得た私たち聖闘士だったが。
ムウとアフロディーテは女だった。
そしてなんと自分も。
全身に暖かい光を感じ瞼を開けたとき、こうして第二の生を賜った事を私は女神に感謝した。そして最初に網膜に映ったのは蜂蜜色の巻き毛に蒼い瞳。かけがえのない親友、蠍座とその笑顔だったのだ。
他の聖闘士たち同様私たちも抱き合って再会を喜びあい…、しかしそこで違和感に気がついたのだった。
まずミロの腕が以前よりとても逞しく感じる。
---おかしい、少しは私の方が体格は劣るがこんなに差はなかったはずなのに。
そして抱き合った時の顔の高さが少しだけ違った。アクエリアスの聖衣のヒールを履いていても私の視線がやっとミロの顎あたりにしかならない。しかも何故かその太い頚とうっすら生える髭にどぎまぎした。
更に聖衣がややゆるい気がし、股間の感覚が違った。要するに聖衣にフィットしていないというか、とにかくすーすーしたのだ。何かがおかしい!と思って周りを見回すと、アフロディーテとムウと思われる二人の美女がそれぞれ妖艶に、そして可憐に、だがなんとなく銀座の高級ホステスを思わせる笑顔でにっこりと微笑んでいる。
そこで私はおそるおそる上から下まで自分の躯に手を当てた。
...ない。...何も無い! 上半身も下半身も付くべきものが付いていなかった。
いや、物事は物理法則にのっとり論理的に言わなければならない。
恥をしのんで正確に言おう、上半身はうっすらと付いていた…お情け程度に。
自分の身体が変化していることに驚き「いやあっ!」と言ってミロをつきとばした。
何故恋人でもあった彼にあんな事をしてしまったのか、あのような言葉遣いをしてしまったのか解らないが「テイソーノキキ」という言葉が脳裏を掠めたことまでは憶えている。
それから数日…いや数ヶ月たった。
ミロとは時々食事などに行く。恋人同士のように手をつないだりする事もある、まあもともとそういう関係もあったのだからそれでもいいかもしれない。
けれども聖戦前には静かな時間など無かったから、デートのようなこんな時間はちょっとだけ気まずい。
しかも、その握る手の大きさに、見上げる胸板に。なぜか心拍数があがり落ち着かなくなってしまう自分がいる。
ミロは黙ってあのときのことはなにも言わず、静かにエスコートしてくれる。そしてそれに慣れ始めている自分もいる。
でもつきあっているというからにはそれだけでは済まないだろう…口づけさえしていない。聖戦前とは明らかに関係が変わってしまっていた。
私だって男だったから解る、彼に欲望があることも。
だが、なぜかこの身体でまたそういった関係になるのがすこし怖いのだ、なんとも形容し難いのだが…。だから機会があったらちゃんと話をしよう。そう思っていた。
氷河から届いたプレゼントの包み紙を破かないようにそっと開くと封書がついていた。
そこにはあの無表情なネコのキャラクターとは似つかわしくない丁寧な内容の手紙が入っており、礼儀正しい弟子の態度にカミュはほっとする。
「我が師カミュ、お元気でしょうか。オレは先生の教えを受けた事を今でも誇りにしながら今、城戸学園の中学生として勉学に勤しんでいます。もちろん聖闘士としての毎日の訓練もわすれてはおりません…。」
相変わらず几帳面な字で書かれた手紙にカミュはフッと微笑み、愛弟子の学生服姿を思いだして悦に入った。
聖域に挨拶に来た城戸学園の制服は氷河にとてもよく似あっていた。我が弟子ながら本当に可愛らしい。
性格そのままの柔らかで素直な金髪、少し目立つ彫りの深い顔立ちのハーフの少年だからこそ、逆に折り目正しいブレザーがよく似合う。
先日来た時の礼儀正しさは青銅聖闘士一であったな、さすが私の弟子。
一瞬カミュは遠い眼をして氷河のことを思い浮かべながら、手紙の続きをさらに読み進めていく。
『…正直、この氷河も師が女性として復活された事に本当に驚きました。しかし、先日聖域にご挨拶に伺った時の清廉な美しさ、自分にはとても形容できません。正義に溢れた聖闘士の中の聖闘士、そして美貌の師。この氷河に誇れるものがまた一つ増えた気持ちです…。』
カミュはそこまで読んで少しだけ眉根を寄せる。清廉と言ってくれるのは嬉しいのだが、正直自分は微妙な気分なのだ。
だいたい今生の女神を見よ!プロフィールには何も書いていないがあの胸は絶対にFカップ以上はあるに違いない。
共に復活したアフロディーテとムウもそうだ、アフロディーテはしなやかな躯にたぶんEカップぐらいの胸。
ムウと来たらFカップのブラジャーでさえきついだとか言い出す始末なのだ!!
ああ、何故復活のときに私をこのような姿にしたのですか?と嘆いても仕方ない、全ては思し召しと宇宙の真理なのだろう。だが、白銀聖闘士にさえ負けている体型で生きていくのは恥ずかしすぎるのです…女神よ。
要するに私はつるんぺたんなのだ。
---氷河よ、お前の気持ちは嬉しいが私は聖域一微乳の聖闘士になってしまったのだ。すまん。
心の中で謝罪しカミュはさらに長くなった睫毛に涙する。
そして今生の女神は何故私をこんな貧乳に...と再度憂鬱な気持ちになった。
しかも、最近は自分がおかしいのだ。
たったすこし小さくなって、ミロの横顔が自分の目線の上にきただけで。
その太い頚の喉仏が横にみえただけで、どきどきするなんて。
そして、そのすこし太く逞しい腕がちょっぴり眩しくなった、と言えば嘘になるだろうか。
いまでも勿論戦闘では同等の能力をもっていると頭ではわかっている…それでも。
首を振り、ため息をつきながら追伸を読み進めていく。
『…実は我が師の親友であり、この氷河の後見人であるミロから依頼を頂き、城戸学園女子高等部の制服を用意致しました。作成にあたっては女神も大変お喜びになり、いずれはこちらを着て出仕して欲しいとの仰せです。きっと大変にお似合いになると思います。是非この制服を来た先生を拝見したいです。フシボーハローシュバ、氷河。 追伸:包み紙と中の書籍は女神が選んで下さいました。』
(…別の話になるが、後に老師に聞いたところでは、包み紙はキティちゃんという全世界でセレブが夢中になっているファビュラスでホットなアイコンらしかった。なぜかシオン様まで優越感丸出しで「セレブなら知っているはずじゃ。日本のポップカルチャーに通じなければ聖闘士はつとまらぬわ!」と説教された。女神は財団の総帥であるが、聖闘士とはセレブなのか?むしろ私には3Kに近い仕事に思えるのだが…。)
氷河の手紙を読み終え、全身の力が抜けた。
……制服、私に制服を着ろと…おっしゃるのですか女神よ……。
のろのろと、あきらめて包みを開けその衣服を寝台に広げてみる。
古風なコリント風の白亜の自宮広い天蓋つきのベッドの清潔な白いベッドシーツに並べられた衣服、それは。
最終決戦場聖域にそぐわないツイードチェックのミニスカート。そして紺のブレザー。
包みボタンのリネンのシャツ。スカートとお揃いのリボンタイ。そして白のニーソックスと焦げ茶色のローファー。それらが数揃いとグンゼのティーンズ用下着のセット。
その服をみてカミュはふう、とため息をつき、次にその気持ちは怒りに変化した。
これはミロの入れ知恵か…あの馬鹿ものが---!!!!
つるんぺたんの私にはこれしか似あわないとでもいうのか!グンゼの下着はお前の趣味か!
女神まであのお調子ものに乗せられて…。
怒りにまかせ、制服をフリージングコフィンにしてしまおうかと思ったが、やっとのところで我慢した。
なにしろ女神の現世での学校の制服である。
だが、余計なことを…とミロに向きかけた怒りの感情は、同梱された雑誌に向いた興味で脇にそれた。包みの底に一冊のファッション雑誌が入っており表紙に派手な柄で「SEVENTEEN」と書いてある。これが女神より下賜された書籍だろう。文字は解らないがだいたいの内容は写真でわかった。BCBG風の制服の着こなしもあればグランジ風もある。合わせるソックスに小物のコーディネイト法。ふむ、これはなかなかに興味深い。
ぱらぱらとめくり要所要所を訳すつもりがなぜか止まらず、一晩かけて一冊を読み切った。なかなかに充実した内容であった。しかも案外刺激的なのだ…おどろいた。ヤマトナデシコというのはもういないのだろうか。
とくに興味を持った記事は「これがワタシたちのリアル戦闘服」と「勝負下着。みんなナニ持ってる?」の二つであった、未熟な躯ながらも媚びたところがない若い女性達が堂々と楽しそうにジェンダーを楽しんでいる。
---目からうろこがぼろぼろと落ちる音がした。
わかりました、女神。貴方はこれを私に伝えたかったのですね!私は誤解するところでした。
恥ずかしいなどと言っていられない。
男女の付き合い。そうか! これは勝負なのだ、バトルなのだ。
解ったミロ、受けて立とう。
そして女神、次にいらっしゃる時には必ずこれで出仕致します…!
律儀な水瓶座は女神の大いなる愛に感謝し眠い目をこすってそう誓った。
さて、同時に届いたもう一つの荷物には通販買ったラッシュの石けんとバスボムセット、そして高級ランジェリーが入っていた。
通販をしなくてはならなくなったきっかけは先月にさかのぼる。彼?いや今や彼女となった彼…にとってショックな出来事が起こったからであった。
ムウと買い物に行ったアテネのランジェリーショップで合う下着が存在せず、すべてぶかぶかだったのだ。だいたいアテネの店はツルペタに優しくない、ティーンズ向けの可愛らしい洋服も売っていない、あるのは成熟した女性のものばかりだ。
そのためしかたなく今までのシャツを緩いながらも来ていたのだ、ミロは男物のシャツを着た私を可愛いと言ってくれるが、果たして本心からだろうかとだんだんと心配になってきていた所だったのだ。
…それからのカミュはインターネットのショッピングサイトを巡っては凝視してずっと悩んでいた。
上品で、サイズが小さめのもの。イタリア産のレースは良いな。シャンタルトーマス…コレール…ふむ。いや、コレールは大きすぎる。リズシャルメル、オーヴァードウも捨て難い、やはりラ.ペルラだろうか?
慎重に測定をして、私のサイズでも大丈夫なものを一生懸命探し、注文したのだった。
その中でも、もっとも美しいと思ったシルクのキャミソール、ブラジャー、アンダーのセットが何点か届いており、うっとりして眺め、試着してみるとぴったりだった。
一枚ずつ試着して鏡の前で気がつくと三時間以上経っており、はっと我に帰った。自分がとっている行動の意味に再度気がついて少し赤面したが思い直す。
これは勝負なのだ!そうだ小宇宙を燃やせアクエリアスのカミュよ。
自分の買った下着と、女神の下された制服。それが同時に届いたのはおそらく大いなる天の意思。
だいたい「もしも」そういう関係になったらグンゼのティーンズ用で戦闘可能だろうか…?
答えは...否だ。
黄金聖衣はマイナス273.15度までに耐えられるが青銅聖衣には無理であることと同様、勝負はシルクのナイティーでなければならないのは自明の理。
グンゼで闘うなど一部のマニア向けではないか…笑止!
月明かりがバスルームに奇麗に差し込む晩、カミュは念入りにシャワーをあびながら思う。
決戦は今夜。
自分の内心を深く分析すると気恥ずかしくなる、だから何も考えずLUSHのオーロラツアーで身体を擦った。あまりにも熱心に身体を洗ったため、宝瓶宮の浴室の天井まで石けんは泡立っていた。
そうだ、謝りにいくのだ、あのときのことを。
そして「また元の恋人に戻ろう」と言い、この服のお礼を言うのだ。
たったそれだけのことなのに心臓が飛び出しそうに緊張するなんて、どうかしている、バージンの小娘ではあるまいし…。
いや、もしかしてわたしはバージンなのか…?
微妙な疑問が脳裏をよぎったが立てた泡をざあっと流し考えないことにした。
だいたいにおいて初戦は緊張するものなのだ、そうではないか?
◇ ◇ ◇
その晩、制服にニーソックスを履いた少女が宝瓶宮の前で仁王立ちになり。
なにかを決意するように満月を眺めた。
十二宮の下から強く吹き上げスカートを煽る強い風とバックの月が、これからの運命を暗示しているようである。
全ての準備は整った。
ソックスは折りの角度も完璧。スカート丈は膝上10cm。
闘う女子の戦闘服である制服は装着し、勝負下着を履いた。
ネイルも塗り直し、シャワーも浴びている、完璧だ。
今宵は満月、そしてミロの誕生日11月8日。
なんとしても今日でなくてはならない。
風で煽られて太腿がチラ見えするプリーツ。
月夜に照らされた、たなびく紅い髪。
すらりとしたその脚が大地を踏みしめるさまはまるで某美少女戦士のようであった。
ゆっくりとローファーを踏みしめ天蠍宮まで降りていくとすると、ほろ酔い加減の年上三人に見つかった。
アフロディーテはドレープの効いた美しいイヴサンローランのドレスを着こなしており、少し酔っては居たが9cmのピンヒールでもバランスを崩す事無く優雅な脚さばきで巨蟹宮と魔羯宮の二人の男を両脇に侍らせ、女王の如く君臨している。
…ああ、私も彼のように自信に溢れた女性になりたい、と一瞬見蕩れてしまうが、いや、私は私の技で勝負するのだ! と決意を新たにして首をふる。
すると、通りすがりに、ちょっと驚いた顔で訊ねられた。
「初めて女物を着たところを見た。いいね、その格好。」
「女神が下さったのだ。」
「そうじゃない。私にはわかるのだよ。その下には絹の下着を着けているのだろう?」
「何故わかった。」
「…女の感さ!」そういってアフロディーテが爆笑した。
なんでこの人には昔からなんでも解ってしまうのだろう。
「当てても良いかい? その格好でミロを誘惑しにいくのだろう?」
「誘惑ではない、服をもらったお礼を言うのだ。」
「でもその服は君にとても似あっている。そして一皮むけばその下着だ。参らない筈がないだろう…? そして君もそれを望んでいる。ちがうかい?」
ぐうの音も出なかった、あたりすぎている程あたっていたからだ。確かに今日、と決めた訳ではない…だが…。
「その、とおりだ。」
すこし間をおいてそう私は応えた。
だがきちんと付け足した、正確に。
「アフロディーテ、これは勝負なのだ。」
すると艶やかな頬は微笑んで。---大丈夫、それならば絶対に勝てる。検討を祈るよ!---と、すれ違いざまにぽんと肩を叩いて優雅に歩んでいった。
いつもと同じ石段なのに天蠍宮に着くまでの時間が早いような遅いような妙な感じだった。
歩いている速度は同じなのに、まるで胸の鼓動だけが一人歩きしているよう。
深呼吸してから静かにノックをすると、まだ起きていたミロが出てきた。
バスローブの胸元から見える鎖骨や、胸襟の逞しさに一瞬どうしていいか解らなくなる。
そして思うのだ、この腕に抱かれていた過去は本当にあったのだろうか?
信じられない。まずい、どくどくと鳴る心臓が口から飛び出してしまいそうだ。
こんな速い鼓動をしているのがわかってしまったら、どうすればいいのだ。
髪を拭きながらくしゃくしゃの笑顔で彼は言う。
「来てくれたんだ! ああ、凄く似あう。素敵だ。」
そういってもう待てないとばかりにいきなり抱きしめられ、愛おしそうに片手で顎を支え、屈んで口づけしようとする。此所までは予想の範囲内だ、だから私はその手を軽くいなす。
「やっぱり、だめ?なんで?」
その大型犬のようなまっすぐな瞳は昔のままだった。 その透き通った空色を見て想う。そういえば私たちの関係はいつもそうだったのだ。最初は言葉さえ解らないもの同士、性格も全く違った。解りあうためにずっと努力してきた、ぶつかりあったこともあったな。
いつの間にか、からからに乾く緊張した喉を絞り出し、 結局わたしは本音を口にしてしまっていた。
「私は...初めてのようなのだ、だから、少し怖い。」
こんな弱音を吐くなどと…とおもいながら、言ってしまって何故かすこしだけ落ち着いた。ミロが昔のように優しく髪を撫でてこう答えたからかもしれない。
「わかった。絶対に、嫌がる様なことはしないから。」
「絶対に、だな。」
そう笑いあってちいさく口づけをした。さいしょはちいさく、徐々に大胆に、お互いの舌が絡んで歯列をなぞりあったが、その感覚はやさしく、あたたかい口内の感覚は覚えているものそのままだった。そして、不安だった私をずっと受け止めて待っていてくれた事に、やっと私は安心したのだ。
その夜の私たちは「ロマンティック」とも「めくるめく行為」とも無縁な。
実に子供っぽい、ティーンエイジャーの最初の行為のような不器用なセックスをした、覚えている言葉や吐息は断片的だ。
---最初は強情な子供同士みたいで…。
「服を...ぬぎたいのだが。」「やだ…このままがいい。」
「下着、似あうよ。」「そうか…?」「うん、上半身もボタンとって良い?」
「…だから服を脱がせろと」「あ、ブラもお揃い。俺のため?」
「ちが…だからこれは勝負なのだ…!」「わかった勝負で良いよ。」
---本当は勝負なんてどうでもいいじゃれあいのようで…。
「奇麗な胸、こうしてキスしたかった。」「…いいのか?こんなわたしで。」
「なにいってんだ、ばかだなあ。」「あ、そこは..。」
「なんで?触っちゃ駄目…? 」「いうな!はずかしい!!」
---最後は、いつもといっしょだった…。
「怒っても可愛い。ごめん、俺。もうだめ、とめられない。」
「おい、いきなりそんな…。」「…大丈夫だって。」
そんなもの、むりだ...。とおもったことまでは覚えているがいつの間にか密着した躯に厚い胸板の感触があった。
挿入の圧迫感に、擦れた声を出しそうになり、唇を噛んで押しとどめた。
すこし痛みを感じたが密着した体の感触には懐かしさを感じて
「…すこし、いたいよ。」
と云って背にしがみつき見上げると、青い瞳がもう耐え切れないという色をして居たから。
「…いいよ」
と言った気がする…。放出を感じたのはその直後だったか。
大きな腕に安心して、すこし、寝ていたと思う。
少し醒めて来た脳で考える、乱れた制服姿で男の隣で寝るなどと、不良女子高生のようではないか。いや、私も現代のヤマトナデシコにすこしは近づいたのだろうか。そう思い、可笑しくなってくすくすと喉の奥で笑う。
視線を感じて瞳をあけると、私の寝顔をのぞいていたであろうミロが云う。
「ごめん、あせって、少しはよかった?」
「すまない、まだよくわからない。」
実際、まだ快感に至る過程はよく解らなかった。
しかしただ単に...行為の快楽をもとめに来た訳ではない。大切なことを伝えるために来たのだ。
だからその唇にキスをして云った。
「そういえば、誕生日だったな。おめでとう。」
「え?それってもしかして、『プレゼントは私』ってやつ?うわ、感激!」
はしゃいで抱きついてくる太い腕に頭を載せ思考を巡らせる...。
……そういえば……
いわれて自分自身の行動に赤面した。
何も持たずにこうしてやって来るなどと、まるでそうだといわんばかりではないか!
だいたい勝負服のことで脳のキャパシティが一杯でそんなことにまで気が廻らなかったのだ。
だから、気恥ずかしさを隠すために。
「ちがうからな!」
と、腕を振り払いシーツを被って背を向けた。
だが、そういいながらも。
いつまでも私の心はうきうきとはしゃいでいた。
FIN
2011/11/18
..いや、グンゼの下着もある意味最強だと思うのですけれどもね..。